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東京高等裁判所 平成元年(行ケ)146号 判決

一 本件に関する特許庁における手続の経緯、審決の理由の要点、本願商標の構成、指定商品、及び登録出願日、並びに引用商標の構成、指定商品、登録出願日、設定登録日及びその更新登録日が、いずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。

二 原告は、本願商標と引用商標とが観念上類似するとした審決の判断を争うので、以下に判断する。

1 当事者間に争いがない別紙(一)の構成の本願商標が「自由」を強調した意味合、すなわち、「(自由度の高い)自由」のごとき意味合(観念)を看取させるものであること、一方、当事者間に争いがない別紙(二)の構成の引用商標も「自由」の観念を生ずるものであることについては、審決摘示のとおりである。

しかし、「自由」が人類が等しく望む最大の欲求のひとつであることに鑑れば、右両商標が生み出す観念上の差異は単なる程度の差にとどまると認めるのは相当でなく、本願商標上の観念からは、引用商標上の観念に比し、より自由を強調し、これを強く求める願望を汲み取ることができるのであるというべきであるから、両者の観念上の差異は無視し得るものではない。したがつて、両商標は「自由」の観念において紛わしい類似のものであるとする審決の判断は誤りである。

このように、同じ日本語の表現又は英語で表現されている同一綴りよりなる語を「アンド」を介した文字による構成の商標とその一つの語のみの文字による構成の商標において、前者の商標より生ずる観念が後者の商標より生ずる観念と異なると判断することは、成立に争いのない甲第二ないし第五号証、第八ないし第一一号証によつて認められる、前記両構成の商標登録出願が双方とも登録査定され、設定登録されている特許庁における審査実務の事例(別紙(三))に徴しても、是認し得るところである。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取り消しを求める原告の本訴請求は理由があるからこれを認容する。

〔編注1〕本件における特許庁における手続の経緯及び審決の理由の要点は左のとおりである。

一 原告は、昭和五五年四月一八日、別紙(一)表示のとおり、「&」の文字を介して左右に「FREE」の欧文字を配し、その上段に「フリーアンドフリー」の片仮名文字を配した構成よりなる商標(以下、「本願商標」という。)について、第一類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、商標登録出願(昭和五五年商標登録願第三一一六五号)をしたが、昭和五七年七月一二日拒絶査定を受けたので、同年八月九日これを不服として審判を請求した。特許庁は、これを昭和五七年審判第一六四九三号事件として審理したうえ、平成元年五月二五日「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決をなし、その謄本は同年六月二八日原告に送達された。

二 審決の理由の要点

1 本願商標の構成、指定商品及びその登録出願日は、前項記載のとおりである。

2 原査定が、本願商標は商標法四条一項一一号に該当するものであるとして、その拒絶の理由に引用した登録第五七二一一八号商標(以下、「引用商標」という。)は、別紙(二)に表示したとおりの構成よりなり、旧第一類「月経帯その他本類に属する商品」を指定商品として昭和三四年一〇月一九日登録出願、同三六年五月一五日設定登録、同五六年八月三一日商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 よつて按ずるに、本願商標は前記したとおりのものであるところ、その構成中「&」の文字は、「アンド」と発音する英語「AND」の略語として一般に親しまれているものであるから、本願商標中の「FREE&FREE」の文字は「FREE AND FREE」と表記したのに等しく、したがつて、「フリーアンドフリー」の片仮名文字は、下段の欧文字の発音を表記したものと看取されるものといわなければならない。

しかして、英語の表現において、同一の綴字よりなる語を「AND」を介して「○○○ AND ○○○」のごとくに表わした表記は、「○○○」の語の意味するところを強調するものと理解されているということができる。

してみれば、「自由」の意味で親しまれていると認められる英語「FREE」を「&」を介して表わした「FREE&FREE」の欧文字と、これに通ずる「フリーアンドフリー」の片仮名文字よりなる本願商標は、「自由」を強調した意味合、これを「非常に自由」あるいは「大変自由」と表現するか否かはともかく、いずれにしても、つまるところ「(自由度の高い)自由」のごとき意味合(観念)を看取させるに止まるものとみるのが相当であつて、これが前記のごとく表記されているからといつて、「FREE」の語の有する意味とはまつたく別異な意味を表現するに至つているというような格別な事由は見出せない。

一方、引用商標にあつて独立して看者の注意をひき、かつ、自他商品の識別標識たりうるものと認められる「フリー」の文字は、「FREE」の英語に通ずる外来語として一般に親しまれているものといえるから、引用商標は、この「フリー」の文字から「自由」の観念を生ずるものといわなければならない。

4 しかして、この「(自由度の高い)自由」も単なる「自由」も、程度の差こそあれ、その差は極めて概念的なものであるので、共に「自由」の域を出ないものということができる。

してみれば、両商標は、「自由」の観念において紛らわしい類似のものとみるのが相当である。

また、引用商標の指定商品に含まれていると認められる「化学品」「薬剤」「医療補助品」は、ごく一部の商品を除いては、本願の指定商品に包含されているものである。

したがつて、本願商標は、商標法四条一項一一号に該当し、登録することができない。

〔編注2〕本件における別紙は左のとおりである。

別紙(一)

<省略>

別紙(二)

<省略>

(以下省略)

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